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公拡法や土地収用法に 「強い税理士」?

 

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公拡法や土地収用法に
「強い税理士」は存在しない

― 本当に確認すべきは、譲渡所得の特例判定です ―
譲渡所得税 公拡法 土地収用法 特別控除 税理士選び

📋 この記事の要点

  • 「公拡法に強い税理士」「土地収用法に詳しい税理士」を探す必要はない理由
  • 税理士が本当に見ているのは、その土地売却が税務上どの特例に該当するか
  • 1,500万円控除(公拡法)と5,000万円控除(収用等)の違いと判定の重要性
  • 相談前に用意しておくべき資料と、即答する税理士がむしろ危険な理由

1「公拡法に強い税理士」を探さなくていい理由

「公拡法に強い税理士を探しています」「土地収用法に詳しい税理士にお願いしたいです」――たまに、こういうご相談をいただきます。

しかし結論から言うと、公拡法や土地収用法そのものに強い税理士を探す必要はありません。というより、そんな税理士を探しても、なかなか見つかりません。なぜなら、公拡法や土地収用法は、税理士の本来業務ではないからです。

税理士が見るべきなのは、公拡法そのものでも、土地収用法そのものでもありません。税理士が見るべきなのは、その土地売却が、税務上どの特例に該当するのかです。

2税理士が見ているのは「どの特例に該当するか」

具体的には、次のような論点です。

公拡法に基づく買取り

最高1,500万円控除

  • 譲渡所得から最高1,500万円を控除できる特例の対象になる可能性
  • 国税庁の質疑事例でも、公拡法第6条の協議に基づく買取りであれば特例の適用があるとされている(国税庁)
土地収用法等に基づく譲渡

最高5,000万円控除

  • 収用等の場合の特例として、最高5,000万円の特別控除、または代替資産取得による課税の繰延べを検討
  • 国税庁も、原則としてこれらのいずれか一方の特例を選択するものと説明(国税庁)

つまり、実務上重要なのは「公拡法に強いか」ではありません。

本当に問われるのは

「公拡法に強いか」ではなく
譲渡所得の特例判定に強いか

3公拡法・土地収用法とは(簡単な整理)

公拡法は、地方公共団体等が公共用地を取得しやすくするための制度です。一定の土地を売却しようとする場合の届出や、地方公共団体等への買取申出を通じて、買取協議の機会を設ける制度です。国土交通省も、公拡法の先買い制度について、一定の土地について届出・申出を行い、買取りを希望する地方公共団体等があれば協議を行う制度であると説明しています。(国土交通省)

一方、土地収用法は、公共の利益となる事業に必要な土地等の収用・使用、その要件、手続、効果、損失補償等を定める法律です。(e-Gov 法令検索)

これらは、都市計画、公共事業、用地買収、行政手続、不動産取引、補償実務の領域であり、税理士が単独で判断すべき分野ではありません。

4税理士が確認すべきチェックポイント

🔍 税理士が確認すべき点

  • その譲渡は、通常の任意売買なのか
  • 公拡法第6条の協議に基づく買取りなのか
  • 土地収用法等に基づく収用等の対象なのか
  • 事業認定があるのか、ないのか
  • 自治体や事業施行者から、どの証明書が発行されるのか
  • 補償金の内訳は、土地の対価・建物の対価・移転補償金・営業補償か
  • 自宅部分、事業用部分、貸付部分、元事業用部分が混在していないか
  • 取得費は分かるのか
  • 過去の相続・贈与・建築・増改築の資料は残っているのか
  • 居住用財産の3,000万円控除など、他の特例との関係はどうか

ここを見誤ると、税額が大きく変わります。

5危険なのは「公共事業だから非課税」で安心するケース

特に危ないのは、自治体や事業者から「公共事業だから税金はかかりません」「特別控除が使えます」という説明を受けて、安心してしまうケースです。

⚠️ その説明は、方向性としては間違っていないこともあります。しかし実際の申告では、税理士が補償金明細・契約書・証明書・取得費資料・固定資産税資料・登記資料・図面等を確認しなければ、正確な判断はできません。

例えば、同じ公共事業でも、土地部分、建物部分、移転補償金、営業補償金、立退料的な性格の金額が混在することがあります。この内訳次第で、譲渡所得になるもの、事業所得・不動産所得・一時所得等の検討が必要になるもの、特例の対象になるもの・対象外になるものが分かれる可能性があります。

6見落としやすい論点(連年制限・特例の違い)

また、収用等の場合の5,000万円特別控除は、無条件に何度でも使える制度ではありません。国税庁は、同じ公共事業で2年以上にわたって資産を売る場合、5,000万円特別控除は最初の年だけしか受けられないと説明しています。(国税庁)

さらに、収用等の5,000万円控除と、公拡法等の1,500万円控除は、似ているようで根拠も要件も異なります。国税庁の確定申告書等作成コーナーでも、収用交換等の場合の5,000万円控除、特定土地区画整理事業等の2,000万円控除、特定住宅地造成事業等の1,500万円控除は、別の特例として整理されています。(計算サイト)

💡 つまり「公拡法か、土地収用か」という入口の言葉ではなく、どの条文の、どの特例に当てはまり、それをどの資料で立証できるかを一つずつ確認することが、税額を左右します。

7探すべきは「譲渡所得に慣れた税理士」

したがって、納税者の方が探すべきなのは「公拡法に強い税理士」ではありません。探すべきなのは、

本当に探すべき税理士は

土地・建物の譲渡所得に慣れており、
公共事業・補償金・特別控除の資料確認をきちんとできる税理士

税理士に相談する際は、最低限、次の資料を用意してください。

📑 相談時に用意したい資料

  • 売買契約書
  • 補償金の内訳書
  • 自治体・事業者から交付された証明書
  • 買取りの申出・協議に関する通知書
  • 登記事項証明書
  • 固定資産税課税明細書
  • 取得時の売買契約書
  • 建築時・増改築時の資料
  • 相続や贈与で取得した場合の資料
  • 土地・建物の図面
  • 居住用・事業用・貸付用の利用状況が分かる資料

これらがないまま、「公拡法です」「土地収用です」「1,500万円控除ですか、5,000万円控除ですか」と聞かれても、まともな税理士ほど即答できません。逆に、資料も見ずに「大丈夫です。控除できます」と即答する税理士の方が危険です。

まとめ

公拡法や土地収用法に強い税理士を探す必要はありません。必要なのは、法律名に振り回されず、資料を一つずつ確認し、譲渡所得の特例適用を慎重に判断する税理士です。

公共事業による土地売却は、金額が大きくなりやすく、特例の有無で税額も大きく変わります。そのため、売却後に慌てて相談するのではなく、できれば契約前、遅くとも補償金の内訳が分かった段階で、税理士に相談することをおすすめします。

大切なのは

その譲渡が、税務上どの特例に該当し、
どの資料でそれを立証できるのか

公拡法に強いか、土地収用法に強いか。そこにこだわる必要はありません。そこを確認できる税理士に相談してください。

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