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「現金より金のほうが相続税に有利」は本当か?―金地金の節税神話を税理士が検証

「現金を金に替えておけば相続税対策になるらしい」

地主様や資産家様の間で、昔からよく聞く話です。

結論から言うと、単純に金地金へ替えただけで相続税が下がるわけではありません。

むしろ誤解していると危険です。

1、現金を金に替えても、原則として節税にはならない

理由は簡単です。

相続税は時価課税だからです。

1億円の現金を1億円分の金地金に替えても、

  • 現金1億円

  • 金地金1億円

どちらも相続財産1億円。

税額は基本変わりません。

2、それでは、なぜ「金は相続税対策」と言われたのか

背景には二つあります。

(1)昔は評価差が出る場合があった

過去には、購入時と相続評価で差が生じるケースもありました。

ただ、現在これを一般論化するのは危険です。

(2)インフレ・通貨リスク対策と節税が混同された

これが誤解を招いた大きな理由です。

金は

  • 円安対策

  • インフレ対策

  • 有事ヘッジ

として意味がある。

しかしそれは「資産防衛」であって、必ずしも「相続税節税」ではありません。

混同されやすいところです。

3、かえって、現金より不利になることもある

不動産なら

  • 貸家建付地

  • 小規模宅地

  • 賃貸アパート評価

など圧縮余地があります。

金には評価減の余地がほぼないため、額面どおり評価されやすいことになります。

 

また、1kgインゴットが1本1,700万円なら、「3人で平等に分ける」が難しい。

つまり、分割しづらいため、争族リスクになる可能性もあります。

 

さらに、相続後に換金すると売却時に税金が出ることもあり得ます。

これは、現金にはない論点です。

 

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4、では金の所有に全く意味がないのか

そうではありません。

相続税対策ではなく、納税資金対策としては意味がある場合がある。

これは別論点です。

 

例えば、不動産のみ所有の地主様の場合、

  • 相続税は高い

  • でも現金がない

ということがあります。

その場合、一部金保有は換金性が高く、納税原資として機能します。

つまり、金の所有は、節税ではなく、納税資金繰り対策として有効です。

5、その他検討余地があるケース

(1)相続財産の分散

現預金一辺倒より、資産分散として一定の意味があります。

(2)生前の資産承継設計と組み合わせる場合

遺言・信託・贈与設計と組み合わせると有効な場合があります。

 

6、「金節税営業」にご注意を!

最近、「金購入で相続税圧縮」のような営業トークを見ることがあります。

こうしたセールストークにはご注意ください。

 

“商品販売の話”と“税務”を分けて考えるていただきたいと思います。

節税商品は、節税でなく商品販売であることが少なくありません。

まとめ

現金を金地金に替えただけでは、通常、相続税は下がりません。

これはまず押さえるべき基本です。

金は、

  • 節税商品ではなく

  • 資産防衛商品であり

  • 場合によって納税資金対策になる

という理解のほうが実務に近いです。

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