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金地金は「守りの資産」か、それとも相続で揉める資産か?―税理士が見る税務と売却判断

金価格の高騰で、昔買った金地金を「持ち続けるべきか、売るべきか」と相談されることが増えました。


結論から言うと、金地金はインフレや円安への備えとして有力な資産ですが、相続と税務では意外な落とし穴があるため、保有目的と出口戦略を整理しておく必要があります。

1、 金地金は相続税の対象になる

当然ですが、金地金は相続財産です。

現金と違い、「隠せる資産」と誤解されることがありますが、それは危険です。

相続税では、死亡日時点の時価で評価されます。

評価額はどう決まるか

一般には、

  • 田中貴金属など主要業者の公表価格

  • 相続発生日の小売価格(または買取価格を参考)

  • インゴットの重量(例:500g、1kg)

で評価します。

 

たとえば相場が1g=17,000円なら、

1kgインゴット1本
=17,000円×1,000g
=1,700万円

となります。

 

不動産のような評価減(貸家建付地や小規模宅地など)は通常ありません。

額面どおり課税されやすい資産です。

2、「税務署は把握しにくい」は危険な誤解

「金は申告漏れでも分からないのでは」と思う方もいます。

これはかなり危ない考えです。

近年は、

  • 購入履歴

  • 貴金属業者の記録

  • 貸金庫情報

  • 相続調査での資金移動確認

などから把握されることがあります。

 

しかも、相続開始前の売却や名義変更は、場合によっては生前贈与や名義預金類似論点まで絡みます。

3、売却時には譲渡所得税が問題になる

ここが見落とされがちです。

金を売ると所得税が出る可能性があります。

原則は「譲渡所得」

売却益
=売却価格-取得費-売却費用

で計算。

さらに一般資産なので50万円特別控除があります。

 

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4、5年超保有なら税務上かなり有利

これが重要。

長期譲渡(5年超)

課税対象
=(売却益-50万円)×1/2

半分しか課税されません。

 

例えば利益500万円なら

(500万-50万)×1/2
=225万円だけ課税対象。

かなり違います。

5、では今、高値で売るべきか?

弊所では「目的」で分けて考えることをお勧めします。

売却を検討してもよいケース

(1)相続税納税資金を作りたい

相続では現金が必要。

金は納税できません。

高値局面で一部現金化する合理性はあります。

(2)資産が金に偏っている

総資産の3割以上が金なら、価格変動リスクは大きい。

一部利益確定はあり得ます。

(3)取得価格が低く含み益が大きい

昔の安値取得なら高値売却で成果を固定できる。

6、全部売るのは慎重でもよい

ただし全部売却は別問題です。

金には

  • インフレヘッジ

  • 円安ヘッジ

  • 地政学リスクヘッジ

という保険的役割があります。

 

私は不動産オーナー様にとって、「相続税納税用に一部売却、残りは保険資産として保有」という考えは合理的だと思います。

7、相続対策では「分割しにくさ」も論点

金1kgは高額で分けにくく、遺産分割で揉めやすい資産です。

つまり、不動産同様、「誰が取得するか」が争点になりやすい資産ということになります。

 

相続対策では、

  • 生前に一部売却して現金化

  • 小口化(金貨等)検討

  • 遺言で帰属明記

することは検討余地があります。

まとめ

金地金は安全資産ですが、相続では評価減が効かず、売れば譲渡税もあり、思ったより税務色が強い資産です。

 

そして、現在の高値局面では、「全部売るか持ち続けるか」の二択ではなく、税金・相続・資産配分を見ながら一部売却を考えるのが現実・実務的です。

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