
- 1、 金地金は相続税の対象になる
- 2、「税務署は把握しにくい」は危険な誤解
- 3、売却時には譲渡所得税が問題になる
- 4、5年超保有なら税務上かなり有利
- 5、では今、高値で売るべきか?
- 売却を検討してもよいケース
- 6、全部売るのは慎重でもよい
- 7、相続対策では「分割しにくさ」も論点
- まとめ
金価格の高騰で、昔買った金地金を「持ち続けるべきか、売るべきか」と相談されることが増えました。
結論から言うと、金地金はインフレや円安への備えとして有力な資産ですが、相続と税務では意外な落とし穴があるため、保有目的と出口戦略を整理しておく必要があります。
1、 金地金は相続税の対象になる
当然ですが、金地金は相続財産です。
現金と違い、「隠せる資産」と誤解されることがありますが、それは危険です。
相続税では、死亡日時点の時価で評価されます。
評価額はどう決まるか
一般には、
-
田中貴金属など主要業者の公表価格
-
相続発生日の小売価格(または買取価格を参考)
-
インゴットの重量(例:500g、1kg)
で評価します。
たとえば相場が1g=17,000円なら、
1kgインゴット1本
=17,000円×1,000g
=1,700万円
となります。
不動産のような評価減(貸家建付地や小規模宅地など)は通常ありません。
額面どおり課税されやすい資産です。
2、「税務署は把握しにくい」は危険な誤解
「金は申告漏れでも分からないのでは」と思う方もいます。
これはかなり危ない考えです。
近年は、
-
購入履歴
-
貴金属業者の記録
-
貸金庫情報
-
相続調査での資金移動確認
などから把握されることがあります。
しかも、相続開始前の売却や名義変更は、場合によっては生前贈与や名義預金類似論点まで絡みます。
3、売却時には譲渡所得税が問題になる
ここが見落とされがちです。
金を売ると所得税が出る可能性があります。
原則は「譲渡所得」
売却益
=売却価格-取得費-売却費用
で計算。
さらに一般資産なので50万円特別控除があります。
4、5年超保有なら税務上かなり有利
これが重要。
長期譲渡(5年超)
課税対象
=(売却益-50万円)×1/2
半分しか課税されません。
例えば利益500万円なら
(500万-50万)×1/2
=225万円だけ課税対象。
かなり違います。
5、では今、高値で売るべきか?
弊所では「目的」で分けて考えることをお勧めします。
売却を検討してもよいケース
(1)相続税納税資金を作りたい
相続では現金が必要。
金は納税できません。
高値局面で一部現金化する合理性はあります。
(2)資産が金に偏っている
総資産の3割以上が金なら、価格変動リスクは大きい。
一部利益確定はあり得ます。
(3)取得価格が低く含み益が大きい
昔の安値取得なら高値売却で成果を固定できる。
6、全部売るのは慎重でもよい
ただし全部売却は別問題です。
金には
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インフレヘッジ
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円安ヘッジ
-
地政学リスクヘッジ
という保険的役割があります。
私は不動産オーナー様にとって、「相続税納税用に一部売却、残りは保険資産として保有」という考えは合理的だと思います。
7、相続対策では「分割しにくさ」も論点
金1kgは高額で分けにくく、遺産分割で揉めやすい資産です。
つまり、不動産同様、「誰が取得するか」が争点になりやすい資産ということになります。
相続対策では、
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生前に一部売却して現金化
-
小口化(金貨等)検討
-
遺言で帰属明記
することは検討余地があります。
まとめ
金地金は安全資産ですが、相続では評価減が効かず、売れば譲渡税もあり、思ったより税務色が強い資産です。
そして、現在の高値局面では、「全部売るか持ち続けるか」の二択ではなく、税金・相続・資産配分を見ながら一部売却を考える、のが現実・実務的です。