
- 1、なぜ今、ルールが変わるのか?(改正の背景)
- 2、改正の目玉「5年ルール」の正体
- 3、「不動産小口化商品」はさらに厳しい現実に
- 4、どう動くべきか?残された対策
- 2026年は「資産の総点検」を!
- 「うちの場合はどうなるの?」
2026年2月現在、相続税・贈与税の世界で激震が走っています。
それが「貸付用不動産の相続税評価の見直し」、通称「5年ルール」の導入です。
これまで「現金を賃貸アパートに変えるだけで相続税がグンと安くなる」と言われてきた王道の節税策が、2027年(令和9年)1月1日以降の相続・贈与から厳しく制限されることになりました。
「うちは大丈夫?」「いつまでに買えば間に合うの?」という疑問にお答えすべく、この改正の核心と対策を徹底解説します。
1、なぜ今、ルールが変わるのか?(改正の背景)
これまで、賃貸不動産は相続税対策の「最強ツール」でした。
その理由は、時価(実際に売れる値段)よりも、相続税の計算上の評価額が圧倒的に低かったからです。
従来の評価の仕組み
- 土地: 路線価(時価の約8割)から、さらに貸家建付地として約20%減額
- 建物: 固定資産税評価額(建築費の約5〜7割)から、さらに借家権で30%減額
この結果、3億円で購入したアパートが、相続税の計算上は1億円程度(時価の3〜5割)まで圧縮できるケースが珍しくありませんでした。
しかし、国税庁はこの「極端な評価減」を行き過ぎた租税回避と判断。
タワーマンション節税の規制に続き、今回アパートやビルなど「すべての賃貸不動産」にメスが入ることになったのです。
2、改正の目玉「5年ルール」の正体
2027年1月1日以降の相続・贈与から、以下のルールが適用されます。
対象となる不動産
亡くなる前、または贈与する前5年以内に取得・新築した「貸付用不動産」が対象です。
- 賃貸アパート、マンション、オフィスビルなど
- 区分所有マンションも含む(※自宅用は対象外)
- 売買や新築で取得したもの(※相続で引き継いだものは対象外)
新しい評価方法(評価が跳ね上がる!)
これまでは「路線価」などで安く評価できましたが、取得から5年以内だと「時価(実勢価格)」に近い基準で評価されます。
【新しい計算の目安】
取得価格(地価変動等を考慮)の80%で評価。 つまり、どんなに頑張っても20%しか減額できないことになります。
具体例で比較:3億円の賃貸アパートの場合
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項目 |
改正前(従来) |
改正後(5年以内取得) |
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相続税評価額 |
約1.7億円(時価の57%) |
約2.4億円(時価の80%) |
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評価の差 |
—— |
約7,000万円アップ! |
この評価額の上昇により、相続税額が数百万円〜数千万円単位で増える世帯が続出すると予想されます。
3、「不動産小口化商品」はさらに厳しい現実に
少額から不動産投資ができる「不動産小口化商品(任意組合型など)」も、今回の改正で狙い撃ちされました。
- 改正内容: 取得時期(5年以内か否か)を問わず、原則「時価」で評価。
- 影響: これまで時価の1〜2割まで圧縮できていたものが、ほぼ「現金と同じ」評価になります。過去に取得したものも対象となるため、現在保有している方は至急の再試関が必要です。
4、どう動くべきか?残された対策
「5年ルール」という名前の通り、5年を超えて保有すれば従来通りの低い評価(路線価ベース)が使えます。
つまり、これからは「駆け込み」ではなく「長期計画」が必須となります。
① 2026年中の「生前贈与」を検討する
改正の適用は2027年からです。
2026年12月31日までに贈与を完了させれば、現行の有利な評価額で資産を移転できるラストチャンスとなります。
② 自有地での建築は「経過措置」を確認
すでに持っている土地にアパートを建てる場合、2026年夏〜秋頃までに着工・新築していれば対象外となる救済措置があります。
「いつ建てるか」の判断が運命を分けます。
③ 他の節税手段との組み合わせ
不動産一辺倒ではなく、多角的な対策へシフトしましょう。
- 事業承継税制の活用
- 生命保険の非課税枠の使い切り
- 小規模宅地等の特例の確実な適用
2026年は「資産の総点検」を!
不動産節税の時代が終わるわけではありません。
しかし、「亡くなる直前に買って節税する」という手法は完全に封じられました。
これからは、「5年以上保有すること」を見越した長期的な資産形成が成功のカギとなります。
2027年になってから後悔しないよう、まずは現在のポートフォリオで相続税がどう変わるのか、シミュレーションすることをおすすめします。
「うちの場合はどうなるの?」
個別のシミュレーションや、2026年中の対策についてのご相談は、弊事務所までお問い合わせください。
相続は「早めの準備」が最大の節税です!